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【第6回】株式会社山櫻 一歩先のSDGs

1枚の紙で世界を救う

One Planet Paper(通称バナナペーパー)という紙をご存知でしょうか?この紙は、今までは廃棄されるだけだったオーガニックバナナの茎から取った「バナナ繊維」を原料として使用した「フェアトレード・ペーパー」です。バナナ繊維は野生のシマウマ、キリン、ゾウが自由に歩くアフリカ南部にある国・ザンビアの村で収穫しています。この繊維を取るという仕事のおかげで、村の人たちの雇用を生み、子供たちが学校に行ったり、マラリアを予防するための蚊帳を買ったり、電気のない家にソーラーランプをつけたりすることができるようになりました。

バナナペーパーは発売して約10年経ちますが、近年、急速に採用が増えています。企業の名刺のほか、大手小売店のショップカードや包装紙、高校や大学の卒業証書などに使われることが多いです。また、高校1年生の英語の教科書でも教材として取り上げられており、学生の認知度も高まっています。

バナナペーパーが注目を集めている理由のひとつは、SDGsの17個の全てのターゲットとリンクしていることです。SDGsの浸透とともに、バナナペーパーも普及が進んでいます。

 

1歩先のSDGs クライメート・ポジティブ

このように浸透が進むバナナペーパーですが、2021年7月に「クライメート・ポジティブ」という付加価値が加わりました。「クライメート・ポジティブ」とは、事業によって排出する以上の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、フロンなど)を吸収・固定化する仕組みです。具体的には下記の方法で行います。

 

  1. 事業で排出される、地球温暖化の原因となる温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、フロンなど)を 出来る限り削減する
  2. 温室効果ガスの排出量を計算する
  3. 温室効果ガスの排出量の合計より多くを吸収・固定化する(ポジティブ化)
  4. 1を繰り返して改善していく

 

このサイクルを回すことで、排出する量以上の温室効果ガスを吸収・固定化します。

このスキームにのっとり、繊維が20%配合されたバナナペーパーはクライメート・ポジティブの紙になりました。繊維の生産から紙の生産までで排出するCO2より50%多い量を吸収・固定化します。なお、固定化のプログラムは、国連が推奨する、人、森、野生動物を守るREDD+(レッドプラス)という仕組みでおこなっています。バナナペーパーの原料の調達、加工を行っているアフリカ南部の国ザンビアには、アフリカ最大のREDD+のBCP(Bio Carbon Partners™)があり、現地200人のスタッフとCO2を吸収するプロジェクトを行っています。森やそこに生息する野生動物を守るのはもちろん、現地の雇用を生むことで貧困の解消にもつながっています。BCPはこれまでに700万トンのCO2を削減しており、その規模は世界最大です。バナナペーパーの製造元であるOne Planet Caféはそのうち60万トンのCO2削減に貢献しました。※2021年現在

また、炭素クレジットは、VSC(Verified Carbon Standard)という第三者認証を取得しています。

バナナペーパーをクライメート・ポジティブの紙にした理由は、脱炭素社会の実現にさらに貢献できる紙にしたかったからです。夏季の最高気温の上昇や大雨や台風の激甚化など、日本でも気候危機を身近に感じる機会が増えました。日本政府も気候危機に対応するため、「2050年を目途に、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という脱炭素社会を実現することを表明しました。このような流れのなかでバナナペーパーの従来の価値に「脱炭素と」いう価値を付加するべきと考えました。

これまでもバナナペーパーは、持続的な森林資源の活用を実現する森林認証紙への変更や、フェアトレードの第3者認証である「WFTO認証」の取得など、品質と価値を常に向上させてきました。今後も、SDGsの目標達成を目指す企業や団体からの要求はさらに上がっていくことが予想されます。そのような市場の声に応え続けるためにも、バナナペーパーはさらなる価値をお客様に提供できるよう前進を続けてまいります。

 

株式会社山櫻

〒104-0041 東京都中央区新富二丁目4番7号
https://www.yamazakura.co.jp/

 

 

 

 

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