日本企業のDXを押し上げるキーは印刷会社
企業が顧客に商品(製品・サービス)を「伝える」ことは難しく、工数がかかる、大変な活動です。しかも、現代社会においては、オンライン・オフライン含め、様々なコミュニケーション手段が溢れ、伝えるための「メディア、コンテンツ、タイミング、デザイン、テクニック、コスト配分」等、多くの企業は日々悩んでいます。
もし、日本に2万社強ある「伝えるプロである印刷会社」が、日本企業に「顧客に伝えるDX」をサポート出来たなら、日本中のどれだけの企業が救われることでしょうか。
本コラムでは、なぜ「顧客に伝える」が複雑化したのかと、なぜ私が「印刷会社こそが活躍すべき」だと考えているかをご説明したいと思います。
マーケティング=売れる仕組み作り
なぜ「顧客に伝える」が複雑化したかを考えていくと、マーケティングにおける情報強者の移り変わりが大きく関わっています。
まず、マーケティングとは、企業が行う「売れる仕組みづくり」の手段のことを指し、「顧客に欲しい」と思ってもらうのが目的だと言えます。企業は「顧客に欲しい」と思ってもらう為に、「良い企業イメージ、良い商品(製品・サービス)」を作ったとしても、「顧客に伝える」が成功しなければ「売れる仕組み」にはなりません。
現代の情報強者は「個人」
「~1960年代」はメーカー
戦後、日本市場はモノを欲しており、「良いものを大量生産しコストを下げ、顧客に知ってもらう」ことが重要で、メーカーが情報を提供する立場でした。
「1970年代~」は小売チェーン
多くの製品が市場に溢れ、消費者は自身のニーズを満たす製品を欲するようになります。POSレジが普及したことで、全国の顧客が「いつ・どこで・どんな人が」購入したという購買情報を取得できる小売チェーンが購買情報分析を行える様になりました。
「1990年代~」は消費者
ついにPC/インターネットの普及が始まり、消費者が能動的に製品をインターネットで検索・比較・検討し、購入意思を持って来店するようになってきました。さらに消費者自身がSNSなどで情報を発信・拡散・共有し始まり、情報の主体は「販売側」から「購入側」となりました。企業は能動的に情報を探している消費者に向け、自社Webサイトを構築し、Web広告や、SEO対策などを行なう等のWeb上でのマーケティング施策「webマーケティング」が始まりました。
「現代」の情報強者は個人
消費者は「欲しい情報を、好きな時に、好きなだけ」入手することが可能になり、世界中どこにいてもほとんどのモノが買えてしまう時代になり、大量の情報の中、様々な情報を取捨選択し生活しています。企業は全消費者に向けた情報発信だけではなく、「デジタルマーケティング」を活用し、個人の興味関心に向けたマーケティングをする必要が出てきました。
デジタルマーケティングとは
企業側もネットや技術の進歩に伴い、顧客のさまざまな情報を得られる様になり、多くの企業が個人の興味関心に向けた情報発信を行っています。購買情報や個人情報などの「顧客情報」や、Webサイト、アプリ、IoTなどで取得、蓄積された「デジタル行動」など、Webマーケティングも含めた、デジタルデータを活用したマーケティング活動を「デジタルマーケティング」と呼び、顧客の興味関心を分析し、施策を自動化するツールとしてマーケティングオートメーション(MA)などが利用されます。
デジタル施策だけでは伝わらない
一方、日経BPコンサルティングによる調査をみると、デジタル施策だけでの売り上げ効果に対する満足度は非常に低く、デジタル施策とアナログ施策を組み合わせた施策の満足度が非常に高いことがわかります。特に、顧客とのコミュニケーションに多く使われるメールについては、「メール配信を許諾する顧客」の平均は全顧客の約30%、「開封する顧客」の平均は配信数の20%と言われており、メールだけでは全顧客の6%程度にしか伝えられない計算になります。
デジタルとプリントを融合した「Printバル」
Eメールなどのデジタル行動の効果測定、紙のDMなどのプリントメディアの効果測定、シナリオ構築出来るデジタルマーケティングツールはあまり存在しておりませんでしたが、コニカミノルタは「Printバル」というプリントメディアを組み入れたマーケティングツールを開発し提供を始めました。
例えば、Eメールを開封してくれなかった顧客に対し、過去の購買情報やデジタル行動から興味関心にカスタマイズした紙のDMをお送りすることもできます。当然、Eメールより開封率は高いですし、特別感を醸し出すことが出来ます。
逆にメールアドレスの情報がない顧客に対しても、紙のDMを起点に、デジタル施策同様に効果測定~シナリオを予め組み込んで「デジタルなアナログ施策」を自動で動かすことも可能です。
印刷会社がデジタルマーケティング提供
マーケティングオートメーションを導入した企業の多くが、「コンテンツ計画・作成ができない」「相談先がない」「リソースがない」といった課題を持っています。デジタル・紙どちらでもコンテンツを作ることもできる「伝えるプロ」の印刷会社はマーケティングオートメーションを運用する企業からすると大変ありがたい存在に成り得ます。すでに自社でマーケティングオートメーションを運用し、経験値をもとに顧客へマーケティングオートメーションの販売・運用支援・コンテンツ作成などを提供している印刷会社も増えてきています。
最後に
印刷会社の多くが、「業務効率化・省力化・製造現場の効率化」いわゆる「守りのDX」については非常に進んでいますが、「商品提供価値のDX化」や、「顧客接点のDX」などの、「攻めのDX」はあまり進んでいません。
今後も多くの印刷物はデジタルに置き換わり、コロナ禍で顧客への訪問や対面商談も難しく、すでに顧客の多くがデジタル上で印刷物を「検索・比較・検討・購入」を行い始めていることを感じていると思います。印刷会社は日本企業のDXを促進する可能性を秘めています。まずは印刷会社自身が「攻めのDX」に挑戦してみてはいかがでしょうか。コニカミノルタが全力でサポートします。
寄稿者
コニカミノルタジャパン株式会社
プリントマーケティング統括部
Printバル エヴァンジェリスト
小林 与晴
コニカミノルタジャパン株式会社
〒105-0023東京都港区芝浦1-1-1浜松町ビルディング
https://www.konicaminolta.com/jp-ja/
コニカミノルタジャパンは、デジタル施策に印刷物を連動させ、印刷会社自身も利用でき、印刷会社が顧客に提供することもできるマーケティングオートメーションを開発、販売を開始。